突然、そしてついに…

葵がインフルエンザに罹った。
朝は何ともなかったのに、幼稚園から帰っておやつを食べないと言いだしたのでおかしいと思い、熱をはかると38度。以前小児科医の従兄に、「こどもの熱くらいで病院に連れてくるな」と言われてから、38度くらいの熱では動じなくなった。だから薫の咳が出だしていなければ、病院に連れていくのも遅れたと思う。幸か不幸か薫も咳をしだしていて、しかも次の日は病院が定休なので今のうちに、と思って夕方に急いで連れて行ったのだ。
病院に行って熱をはかると39度にまで上がっていた。医者もさっそくインフルエンザを疑う。「お友達や幼稚園でインフルエンザにかかっている人はいますか?」「近所のお友達には今はいませんが、幼稚園からは知らせて来ないので分かりません」などというやりとりがあった後、まだ反応は出ないかもしれないがと言いながらインフルエンザの検査。綿棒の長いのを鼻の奥に入れて粘膜を採取するのだが、いやいやそんなに入らないでしょうというところまで、多分大げさじゃなく10センチくらいは入れていたと思う。葵も苦悶…出てきた綿棒は血で赤く染まっていて、見ているこちらが悶絶しそうになる。それを妊娠検査薬のようなキットにつけて、感染していればA、B、Cとかいうところに線が出るとかいう仕組み。Cは、検査終了のしるしだったかな。これも妊娠検査薬と同じだなぁ…とか暢気に構えていたら、ばっちりAのところに線が入って戻ってきた。「今A型インフルエンザの98%くらいは新型です」と言われ、感染していることが明らかになった。その瞬間から病院内でも隔離である。
家に帰って仲良しのお友達や親や幼稚園や色々なところにとりあえず連絡を入れ、タミフルを飲ませた。ところが…しばらくうとうととしていたが、しばらくするといきなりガバっと起き上がり、立ち上がってその辺りを泣きながら私の手を引いてうろうろ…冷蔵庫の前まで来て「みかん、みかん」と言ったかと思うとリビングに戻ってうろうろ…目もちょっと据わっていて、我が子ながらなんだかちょっと恐ろしくなった。これがタミフルによる異常行動なのか、熱にうかされての行動なのかは分からないが、インフルエンザと診断されてからネットでインフルエンザ脳症のことばかり調べていた私は気が気ではなく、葵が再び寝入ってからも安眠できなかったのか何度も起きて異常はないかチェックした。
朝になって熱は…もう36度台。医者の話では2、3日続くと言われていたのに。午後になって少し食欲も出てきてほっとしたが、今度はいつもはしない昼寝をしだして、しかも3時間くらい寝る。鼻水と咳を抑える水薬も処方されていて、眠くなるものだと説明は受けていたが…そのせいなのか、それとも…また不安になり、何度も息を確かめたりつついて反応があるかチェックしたり…このままでは寝ているだけなのに救急車を呼びかねない。いくら「恐れていたインフルエンザ」だとは言え、私よちょっと落ち着け落ち着け!結局今日は一日熱が上がらなかったし、もうあまり心配はないとみて大丈夫かな?医者には熱が下がって2日は他の人にうつす可能性があるから幼稚園は休むようにと言われていたが、幼稚園からは1週間の出停を言い渡されている。この分だともう2、3日すれば家の中で一日過ごすのが難しくなりそうでそちらも不安。まあ、高熱が出ていたときの不安を考えればありがたい種類のものだけれど…
熱が下がっても飲み続けるようにと5日分もらったタミフル。飲みきれと言われれば飲みきらなければならないのだろうが、ちょっと異常行動が怖い。それに、家族内の感染はどうなるのかまだ分からない。薫が打ったワクチンは2週間経たないと免疫がつかないらしく、今はまだ打っていないのと同じ無防備な状態らしい。もし薫がかかれば葵よりも重症化するのは目に見えていて、それだけはどうしても避けたいけれど、狭い家の中で二人を離すなんて無理な話だ。葵はちっともマスクをしてくれないし。私自身も異常に咳が出ていて苦しい。病気に罹って初めて分かる健康のありがたさとはこのことだなと身を以って知った。